May 26, 2011

東京暮色


有馬稲子 原節子

東京暮色東京暮色は、小津安二郎第48作目の監督作品である。
1957年(昭和32年)に公開され、小津自身は54歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。

「これは若い女の子の無軌道ぶりを描いた作品だと言われるが、ぼくとしてはむしろ笠さんの人生――妻に逃げられた夫が、どう暮して行くかという、古い世代の方に中心をおいてつくったんです。
若い世代は、いわばその引き立て役なのだが、どうも一般の人々はその飾りものの方に目がうつってしまったようです。」
(引用:「自作を語る」)

■ストーリー
初老の銀行員杉山周吉は、末の娘がまだ幼い頃妻に逃げられた。その後、長男を山の事故で亡くし、長女の孝子は結婚したので、次女の明子とふたりでひっそりと暮らしていた。

明子は木村憲二という年下の男と付き合っており、最近は帰りも遅く生活が乱れがちだった。周吉は心配したが、母親の愛情を知らずに育った明子のことが不憫だった。

そんな矢先、孝子が夫の沼田康雄とうまくいかず、幼い娘を連れて実家へ戻ってきた。明子の方は、木村の子を妊娠していることがわかり、そのことで木村と話がしたいのだが、木村は逃げ回ってばかりいた。木村の誠意のない態度に失望した明子は、ひそかに中絶手術を受ける。

孝子は、明子が出入りしている麻雀屋に実の母親らしき人がいるという話を耳にした。孝子が確かめに行くと、確かに母親の喜久子だった。明子には母親は幼いときに死んだことになっているが、本当は周吉と子供たちを捨てて別な男のもとへ走ったのだった。

孝子は、母親の汚れた過去を明子には知って欲しくなかった。しかし、明子は事実を知ってしまう。明子は、母が自分たちを捨てたように、自分も生れてくるはずの子供の命まで捨ててしまった・・・。自分にも母と同じ穢れた血が流れているのだ、と言って嘆いた。

母への失望、木村への怒り、そして将来への希望を失った明子は、自暴自棄になって電車に飛び込んだ。明子の葬儀のあと、孝子は喜久子のもとを訪れ、明子がこうなったのは母が自分たちを捨てたせいだと言って母を責めた。喜久子は、娘の言葉を重く受け止めた。

孝子は、自分の娘にはこんな悲しい思いはさせたくないと考え、沼田ともう一度やり直す決心をするのだった。そして、周吉はとうとうひとりになってしまった。深い孤独感を胸に秘め、周吉は今日も仕事へ向かった。

笠智衆・・・杉山周吉
有馬稲子・・・杉山明子
信欣三・・・沼田康雄
原節子・・・沼田孝子
森教子・・・沼田道子
中村伸郎・・・相島栄
山田五十鈴・・・相島喜久子
杉村春子・・・竹内重子
山村聡・・・関口積
田浦正巳・・・木村憲二
須賀不二男・・・富田三郎
高橋貞二・・・川口登
長谷部朋香・・・松下昌太郎
山本和子・・・前川やす子
菅原通済・・・菅井の旦那
藤原釜足・・・下村義平
三好栄子・・・女医笠原
宮口精二・・・刑事和田

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