Mar 29, 2016

『東京物語』ニューデジタルリマスター版

DVDジャケット

『東京物語』ニューデジタルリマスター版の存在は知っていましたが、これまで鑑賞したことはありませんでした。
観た人によると映像と音声が鮮明になり、登場人物の表情や画面の細部がよく見えるようになった上、効果音やBGMもクリアに聞こえるようになったとのことです。

そして、実に気になる発言がありました。
東山千栄子が原節子のアパートを訪れ、夜二人がしみじみと語り合うシーンのバックに「夜想曲」という美しい曲が流れますが、この音楽がハッキリと聞こえるというのです。

「夜想曲」は斎藤高順の自信作でしたが、小津監督は映像と音楽があまりにもマッチし過ぎていたため、「上手く出来過ぎちゃった」と言ってNGにしようとしました。
しかし、この曲は斎藤にとって自信作であったばかりではなく、東京交響楽団のコンサート・マスターを務めた鳩山寛による見事なヴァイオリンソロが含まれていたのです。

鳩山寛は、子供の頃から天才ヴァイオリニストと言われた名手で、元は遠山姓でしたが鳩山薫子女史(鳩山一郎首相夫人)がその才能に惚れ込み、鳩山姓を名乗ることになったそうです。
そんな誉れ高き鳩山氏に演奏を依頼し、何度も録音に付き合っていただき、ようやく完成したのが「夜想曲」でした。

斎藤高順は、簡単にNGを受け入れるわけにはいかなかったのです。
小津監督も曲の良さは認めていたので、NGにすることは思いとどまりましたが、画面に影響を与え過ぎないようボリュームを落として流すことにしました。
つまり、小津監督の意図としてはNGではないけれど、観る者にとってあまりよく聞こえてしまっては具合の悪い音楽だったのです。

それが、ニューデジタルリマスター版になってクリアに聞こえてしまっては、小津監督の意に反するのではないか?
本当にハッキリ聞こえるのだろうか?

「夜想曲」がほとんど聞こえないというエピソードは、去年のイベントでも話した内容だったので非常に気になるところでした。
そこで、ニューデジタルリマスター版を購入して、事実確認を行うことにしました。

結果は、やはり微かにしか聞こえませんでした!
後半になって、若干ボリュームが上がったような気がしないでもありませんが…。
当然、ニューデジタルリマスター版の制作スタッフもよくご存じでしたね。

そんなわけで、『東京物語』のニューデジタルリマスター版は超おすすめです。
映画史上に燦然と輝く歴史的名作を、鮮明な映像と音声でお楽しみいただける逸品です。
そして、やはり「夜想曲」はほとんど聞こえません!

DVD盤面

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