Nov 8, 2017

EXPO70 大阪万博みどり館「アストロラマ」の遠い記憶が今甦る

思いがけない偶然が重なり、忘れていたはずの記憶がある程度甦りました。それは、1970年大阪万博の遠い過去の記憶です。完全ではありませんが、いくつかの資料を拝見することにより、曖昧だった部分が明らかになりました。

残念ながら、アストロラマの映像をお見せすることは叶いませんが、父高順が作曲した「前進」の音楽はお聴きいただくことができます。映像については、以下に大まかな説明文を記載しました。

公開当時のパンフレットからの引用と、父が保管していた資料を元に映像のイメージを文章でお伝えします。少しでもアストロラマ「前進」の感動と興奮を感じ取っていただければ幸いです。

プロローグ
前進――それは創造することだ。創造はむつかしく、そして苦しい。けれども、人間は前進をやめない。なぜ? そこには楽しい終着があると信ずるからだ。「前進」は、期待にみちた快い音楽とともにはじまる。――〔みどり館公式パンフレットより〕

日本の祭り
歓声の中を、わたしたちは御輿に乗って前進する。おとなも、こどもも、みんながこの日を待ちかねていた。日本の祭りだ。太鼓、笛、おはやし、わた菓子、かざぐるま、天狗の面、そして顔、顔、顔――日々のすこやかないとなみへの感謝と歓喜の世界が、わたしたちの肌につたわる。――〔みどり館公式パンフレットより〕

《補足》
ドーム全体に、秩父の夜祭りの映像が現れる。神殿に向かって進むカメラと、すれ違う巨大な御輿。大太鼓、笛、鉦、小太鼓の躍動感溢れる音が鳴り響く。ぐるっと回転して、なおも進む御輿。子供御輿、獅子踊り、御輿を引く人、御輿飾り、神官の顔が大きく映し出される。町中を進む御輿、見上げる子供たちの顔、回る風車…、夜祭りはいっそう熱気を帯びる。
※ロケ地:秩父神社境内~上町通り

前進のマーチ
正々堂々、整然と列をなした鼓隊が真正面から迫まってくる。つづいて、生き生きとほほを輝かした少年少女のブラスバンドの一行。そして純白の航空音楽隊の行進。それらのリズミカルな足どりがつたわってくる。――人間の生命のはなやかさときよらかさの世界だ。――〔みどり館公式パンフレットより〕

《補足》
カメラを囲んだ風船が飛び去り、ブラスバンドが登場する。光るスーザフォン、チューバ、トランペット、サキソフォン、トロンボーン…、ブラスバンドによる「前進のマーチ」の演奏が始まる。前進する隊列、バトンガールの姿が映し出される。隊列を突き抜けるカメラの映像が、次のシーンへと誘う。
※ロケ地:駒沢オリンピック公園

「アストロラマ・フィルム」当時世界最大級の超大型70ミリフィルム

海と若ものたち
大空の下、世界をつないではてしなくひろがる“青い海”。巨大なヨットに乗りながら大海を行く若ものたち――その帆を操つるたくましい手は、輝かしい労働する力のシンボルだ。わたしたちは、若ものたちの案内で、未知の冒険に旅立つ。さわぐ胸をおさえながら。――〔みどり館公式パンフレットより〕

《補足》
揺れるヨットの上で、セールが高々と上る。青空の下、光る銀鱗、風を受けて帆走するヨット。クルーザーヨットが大海原を快走する優雅なシーンが展開する。
※ふじやま丸(森繁久彌氏所有のヨット)

海底の驚異
とつぜん、画面いっぱいにくりひろげられる海底の青い世界。沈黙の無気味な世界だ。無数に群をなす魚たちを追い求める潜水夫――たえず生命の危険にさらされながら、明日の糧を求めて、人間は未知の海洋開発に挑みつづけるのだ。わたしたちは、人間の偉大な“力”を発見する。――〔みどり館公式パンフレットより〕

《補足》
カメラは、クルーザーヨットから海中へと切り替わる。泳ぎ回る魚の群れ、太陽の光が海の中を青々と照らし出し、神秘的な映像が繰り広げられる。

汽車は行く
紅葉の山野――美しい日本の秋だ。その中を黒い蒸気機関車はばく進する。けわしい断崖をものともせず、まっ暗なトンネルさえも恐れず、ただひたすらに黒煙をもくもくはきつづけて走る黒い機関車――それは、前進する日本の運び手だ。人間のたくましい力かもしれない。力強い音楽が画面いっぱいにつたわり、わたしたちに新たな勇気を与えてくれる。――〔みどり館公式パンフレットより〕

《補足》
ばく進する汽車が、曲りくねってトンネルをくぐる。直進して鉄橋を渡り、断崖の縁をなおも進む汽車。黒煙を吐き、汽笛を鳴らし、力強く走る汽車の映像がドーム全体に広がる。

汽車の世界
とつぜん、機関車は5つに分身する。たくましい叫びをあげながら、前から、うしろから、そして左右から、わたしたちにおおいかぶさり、とたんに消える――それは破壊の世界だ。造られたものは必ずこわれ、生あるものは必ず死ぬ。生々流転――そこに新しい創造がくりかえされている。――〔みどり館公式パンフレットより〕

《補足》
疾走する汽車の映像は、5分割の画面へ切り替わる。遠くから汽車がこちらへ向かってくる。5方向から5台の汽車が観客めがけて迫ってくる…。
※ロケ地:足尾線(桐生~足尾)

自動車レース
すさまじいごう音をあげて走りつづけるレーサーたちの鋭いまなざし。抜きつ抜かれつ、スリルにみちた死闘の世界だ。それは機械の競争ではない。車をつくり、車を操つる人間自身のすさまじいまでの相剋の世界なのだ。――〔みどり館公式パンフレットより〕

《補足》
眼下を猛スピードで走り抜ける車群の映像。カメラは、先行する車へ迫り一気に抜き去るが、すぐに抜き返される。抜きつ抜かれつ、レーサーたちの生死を賭けたデッドヒートが繰り広げられる。
※ロケ地:富士スピードウェイ

秋を走る
まっ青な秋空の下を、わたしたちは超スピードで走りくだる。飛び去る紅葉のトンネル。きしむタイヤの音。高なる爆音。そして、とつじょ急カーブ。激しさのなかの一瞬のやすらぎとめまいが、果てしなくつづく。それは、喜びと苦しみにみちたわたしたちの世界だ。――〔みどり館公式パンフレットより〕

《補足》
カメラは、紅葉が目に鮮やかな日光いろは坂の映像へ転換する。紅葉のトンネルをぬけ、猛スピードでカーブを走り下る車。ジェットコースターに乗っているようなスピード感溢れる映像が続く。先行する車を次々と追い越し、急カーブでは観光バスに激突しそうになる。いろは坂の映像は徐々に色彩を失い、エピローグへと導かれる。
※ロケ地:日光いろは坂、金精峠

エピローグ
天頂から、とびちる奔流。輝きながら、しだいに速度をましていく。それは、宇宙の星の色でもあり、彗星の尾の形でもある。あるいは、わたしたちの未来かもしれない。――〔みどり館公式パンフレットより〕

《補足》
幻想的な映像と音楽は一気に終焉を迎え、突然ドーム全体が明るくなる。余韻を残したまま「前進」は終わり、哀愁を感じさせるエンディングテーマが観客を暖かく包み込む。

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