突貫小僧
斎藤達雄 青木富夫 坂本武
突貫小僧は、小津安二郎第12作目の監督作品である。
1929年(昭和4年)に公開され、小津自身は26歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。
「「会社員生活」に出て来た青木富夫という子役がいたんだよ。
これが撮影中に眠っちまうという仲々の奴でね。
面白い、これを主役にして撮ろうと、話を考えたんだ。
打明けていうと、当時ドイツのビールが入って来たんだ。
それが飲みたくてね、皆で本を書いて原作・野津忠二とあるでしょう、
野田、僕、池田、大久保(忠素)の合成ネームなのさ、僕が撮った。
撮影、たしか三日位だったよ。」
(引用:「自作を語る」)
■ストーリー
路地裏で、子供たちがかくれんぼをして遊んでいた。そこへ、人さらいの文吉がやってきて、その中のひとり鉄坊に目をつけると、言葉巧みに誘い出した。
ところが、鉄坊は何かと文句を言っては文吉を困らせ、文吉はパンやおもちゃを買わされるはめになってしまう。ようやく、人さらいの親分権寅のところへ鉄坊を連れてきたが、権寅の前でも少しも言うことを聞かず、やりたい放題の腕白ぶりを発揮する。あきれ果てた権寅は、とうとう鉄坊を追い返してしまった。
文吉は、鉄坊を元の路地裏まで連れて戻ることにしたが、鉄坊は仲間の子供たちに文吉から巻き上げたおもちゃを見せびらかした。自分たちもおもちゃを買ってもらいたくて、子供たちは文吉の元へ駆け寄った。たまらず逃げ出す文吉を、追いかけまわす子供たちであった。
斎藤達雄・・・人さらい文吉
青木富夫・・・鉄坊
坂本武・・・人さらいの親分権寅