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美人哀愁
岡田時彦 井上雪子
1931年5月29日公開。
脚本現存、ネガ、プリントなし。
美人哀愁は、小津安二郎第21作目の監督作品である。
1931年(昭和6年)に公開され、小津自身は28歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。
「これは、ナンセンスの行き方をかえて、はじめてリアルに甘いものを作ろうと意気込んだのだな、そしたら大変長たらしくてダラけた写真が出来てしまった。
ムキになって撮ったんだが、駄目だったね。
力を入れた「お嬢さん」より簡単に撮った「淑女と髯」の方がいい、そしてムキになったこれが一番いけない・・・・・・。
映画が判らなくなって来てね。
ともかくこんな処にはまり込んでしまっては駄目だと気がついた。」
(引用:「自作を語る」)
■ストーリー
岡本、佐野、吉田の三人は、昔からの友人だった。吉田は彫刻家で、芳江という美しい娘の彫像を作った。岡本と佐野は、その彫像の美しさにすっかり魅了された。
やがて、岡本は彫像のモデルである芳江と結婚した。佐野は吉田から彫像を譲ってもらった。その後、芳江は病気になり死んでしまった。
悲しみに打ちひしがれた岡本は、佐野に芳江の彫像を譲ってくれと頼んだ。しかし、佐野は断った。押し問答の末、怒った岡本は芳江の彫像を叩き割ってしまう。
佐野と岡本は激しく争い、ついに二人とも命を落としてしまった。吉田は壊された彫像の近くで、二人が死んでいるのを見つけた。吉田は彫像の破片を集めて、それを木の下に埋葬した。
岡田時彦・・・岡本
斎藤達雄・・・佐野
井上雪子・・・芳江
岡田宗太郎・・・吉田
吉川満子・・・美津子
若水照子・・・はる子