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肉体美
斎藤達雄 飯田蝶子 坂本武 日守新一
1928年12月1日公開。
脚本、ネガ、プリントなし。
肉体美は、小津安二郎第6作目の監督作品である。
1928年(昭和3年)に公開され、小津自身は25歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。
「うん、僕の作品でどうにか恰好がついて来たというのは、この写真あたりからじゃないかな。
会社がはじめて僕を認めてくれたのはこの作品だったよ。
当時の旬報に、内田岐三雄がこの作品に名文の批評を書いてくれてね、まだ覚えてるよ。
自分でも、映画はこういう風にやればいいのだな、と見当がついて来たんだね。
今の監督は一本立ちの途端から七巻八巻のフィーチュアを撮れるだろう、それが当時は、新人のうちは三巻物くらいの写真ばかり撮らされる。
仲々自分に対して見当がつけ難いんだ。
自分が判るまで時間がかかった訳だよ。」
(引用:「自作を語る」)
■ストーリー
高井家では、妻の律子が画家をしており、夫の一郎は失業中で妻に頭が上がらない。恐妻家の一郎は、家事や身の回りの世話だけでなく、律子の絵のモデルまでやる羽目になってしまった。
金持ちのパトロンが仕事場を訪れ、一郎の目の前で妻と馴れ馴れしくしても文句も言えない。屈辱を感じた一郎は、思い切って自身で絵を描いてみた。
すると、隠れた才能が開花し、一躍画壇でも評判になった。一郎の絵は律子の絵と共に展示されたが、賞を受けたのは一郎の方だった。
二人の立場は逆転してしまった。その後、律子は絵筆を捨てて従順な妻となり、今度は一郎のヌードモデルまでつとめるようになった。
斎藤達雄・・・高井一郎
飯田蝶子・・・妻律子
木村鍵児・・・大倉傅右衛門
大山健二・・・学生