淡島千景 原節子

麦秋麦秋は、小津安二郎第44作目の監督作品である。
1951年(昭和26年)に公開され、小津自身は48歳であった。
晩年、「自作を語る」の中では、次のように述べていた。

「これはストーリーそのものより、もっと深い《輪廻》というか《無常》というか、そういうものを描きたいと思った。
その点今までで一番苦労したよ。
中に出てくる子供が乱暴だという。
乱暴でも世代がちがうんだし、あの子もまた大きくなればそれなりに変って行く筈なんだ。
だから、芝居も皆押しきらずに余白を残すようにして、その余白が後味のよさになるようにと思ったのだ。
この感じ、判って貰える人は判ってくれた筈だが……。
原さんはいい人だね。
こういう人があと四、五人いるといいのだがね。」
(引用:「自作を語る」)

■ストーリー
北鎌倉で暮らす間宮家は、総勢7人の大家族だ。植物学者の周吉とその妻しげ、東京の病院で医師をしている長男康一とその妻史子、幼い息子たち實と勇、それに丸ノ内の貿易会社に勤める長女紀子の7人である。

毎日にぎやかに暮らしている間宮家へ、周吉の兄茂吉が大和から遊びにやってきた。茂吉は、28歳になっても嫁に行かない紀子を心配する一方、周吉夫婦には引退して大和へ戻ってくるよう話しに来たのだった。紀子は、上司の佐竹から縁談の話を持ちかけられていた。

縁談話は着々と進み、間宮家の家族たちも賛成しており、紀子自身もだんだんとその気になっていった。また、康一の同僚であり紀子とも幼なじみの矢部謙吉は、一昨年妻を亡くし幼い娘光子と母親たみと暮らしているが、やはり再婚相手を探していた。

謙吉は、突然秋田の病院へ転勤が決まり、出発の前日に餞別を持って矢部家を訪れていた紀子は、たみから思いがけない話をされた。たみは昔から紀子のことを気に入っており、「あなたのような娘が息子の再婚相手になってくれたらどれほどいいか、でもそんなことは有り得ないことなので、今まで口にしたこともなかったが・・・」と言った。それを聞いた紀子は、「こんな私でも良ければ・・・」と答えるのだった。思いもよらない返事にたみは驚き、謙吉も困惑しつつも嬉しくて夜もろくに眠れないほどだった。

紀子は、直感的に謙吉の妻になることを決意したが、実は以前からそれを望んでいたことに気付いた。これには間宮家の皆も驚き、佐竹からの縁談の方がいいのではないかと紀子の決断に戸惑いを見せた。しかし、紀子の決心は固く、謙吉とのことはもう決めたことだと言って譲らなかった。

家族も最後は紀子の決意を尊重し、謙吉との結婚を了承した。そして、紀子は結婚を機に秋田へと去った。また、周吉夫婦は茂吉の勧めに従い、大和で隠居生活を送ることになった。

こうして間宮家は離れ離れになったが、それぞれが新しい生活を始めるのだった。大和に隠遁した周吉としげは、豊かに実った麦畑を眺めながら、しみじみとこれまでの人生を振り返っていた。

菅井一郎・・・間宮周吉
東山千栄子・・・間宮しげ
笠智衆・・・間宮康一
三宅邦子・・・間宮史子
原節子・・・間宮紀子
村瀬禪・・・間宮實
城澤勇夫・・・間宮勇
高堂国典・・・間宮茂吉
淡島千景・・・田村アヤ
高橋豊子・・・田村のぶ
佐野周二・・・佐竹宗太郎
二本柳寛・・・矢部謙吉
杉村春子・・・矢部たみ
宮内精二・・・西脇宏三
井川邦子・・・安田高子
志賀真津子・・・高梨マリ

動画について

①ブルー・インパルス ②オーバー・ザ・ギャラクシー ③オンリー・ワン・アース ④輝く銀嶺 ⑤東京物語(吹奏楽アレンジ) ⑥彼岸花(吹奏楽アレンジ) ⑦秋刀魚の味(吹奏楽アレンジ)

Translate

category

ページ上部へ戻る
Translate »