日本映画音楽の巨匠たち

日本の映画音楽というと、ゴジラ、黒澤映画、ジブリ作品あたりをイメージする人が多いのではないでしょうか。また、坂本龍一や久石譲、武満徹など、印象的な映画音楽を書いた作曲家の名前を思い浮かべる人もおられると思います。

「日本映画音楽の巨匠たち」のCD制作に際し、『東京物語』の主題曲と夜想曲を収録したいというお話をいただいたときは大変光栄に感じ、早速両親の遺影に報告しました。父(斎藤高順)は映画音楽を50作品ほど残していますが、そのほとんどは小津監督と出会った『東京物語』から、監督の遺作となった『秋刀魚の味』までの10年間に集中しています。

小津映画と並行して、日活でも40作品ほど映画音楽を担当しましたが、最近アマゾンプライムビデオで観られるようになった作品がいくつかあります。例えば、『月は上りぬ』『乳房よ永遠なれ』『孤独の人』『大出世物語』『いのちの朝』『しろばんば』などですが、共通して言えることは、いずれの作品も音楽がとても丁寧に作り込まれている点です。

父の手記によると、日活の監督は小津作品と比べて音楽に対する意識が低く、とても雑な扱いや無理な要求を受けたように当時を振り返っていましたが、これまで観た日活作品の中にはそのような印象は見受けられませんでした。改めて良質な映画音楽を手掛けた作曲家であったことが確認でき、非常に誇りに思いますが、そのような足跡がすっかり忘れ去られてしまったようでとても残念です。

小津映画音楽は、小津監督が亡くなられた翌年(1964年)に録音されたLPレコードがありますが、それが後にCD化された以外に、吹奏楽版として演奏されたことはありましたが、オリジナルの映画音楽としてレコーディングされたことはありませんでした。それが、今回リリースとなった「日本映画音楽の巨匠たち」の中で、竹本泰蔵指揮、日本フィルハーモニー交響楽団の演奏によりCD収録されました。

本CDは演奏、録音、選曲などの観点から、近年の日本映画音楽作品集としてはまさにベスト盤といっても過言ではないでしょう。このCDをお聴きになって、斎藤高順作曲の小津映画音楽に興味を持たれる方が、一人でも増えたらこの上なく喜ばしいことです。

小津安二郎名作映画音楽集(アナログ録音)

動画について

①ブルー・インパルス ②オーバー・ザ・ギャラクシー ③オンリー・ワン・アース ④輝く銀嶺 ⑤東京物語(吹奏楽アレンジ) ⑥彼岸花(吹奏楽アレンジ) ⑦秋刀魚の味(吹奏楽アレンジ)

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