六区あさくさ大通り【村井しげる】
劇団にんげん座創立50周年記念公演「昭和浅草ラプソディ」のタイトルバック・イントロ(没バージョン)を公開します。
飯田一雄(作詞)
村井しげる(作曲、歌とアコーディオン)
昨秋、劇団にんげん座主宰の飯田一雄氏より、愛知県蒲郡の旅館からお手紙をいただきました。手紙によると、1958年(昭和33年)公開の松竹映画「彼岸花」で、佐分利信と笠智衆が同窓会の翌朝、海辺で語り合うシーンに使われたと思しき三河湾のロケ地を訪れたそうです。
飯田氏は三河湾の風景が気に入っているようで、そこを訪れるのは二度目とのことですが、毎回この景色を見るたびに「彼岸花」のテーマ音楽が脳裏をよぎると仰いました。お手紙を頂いて、私は次回公演の主題曲は「彼岸花」と決め、サイトウ・メモリアルアンサンブルのメンバーにも伝え、「彼岸花」の主題曲を新規録音することにしました。
このことは飯田氏にも伝え、「是非ともお願いします」と快諾していただいたので、早速アンサンブル用にアレンジを行い、スタジオも借りて録音・編集作業を進めました。
今春の劇団にんげん座公演「昭和浅草ラプソディ」では、全編にわたり小津映画音楽が流れますが、主題曲をめぐって少々問題が生じました。「彼岸花」のテーマ音楽に合わせてタイトルバックを作成しましたが、脚本の改訂版には何故か主題曲が「六区あさくさ大通り」に変わっていたのです。
これでは全く話が違いますが、今回は劇団創立50周年の記念公演であり、飯田氏が愛して止まない「六区あさくさ大通り」に合わせてタイトルバックを再作成すべきなのか大いに悩みました。そこで、妥協案としてタイトルバックは「彼岸花」を流しますが、イントロ部分に「六区あさくさ大通り」のショートバージョンを付けてみたらどうかと考えました。
「六区あさくさ大通り」による短いイントロを経て、「彼岸花」の主題曲を繋げたタイトルバックを作成し、早速飯田氏に見ていただいたところ、大変ご満足の様子でしたのでこれで行くことに決めました。
ところが、その後紆余曲折があって、結局イントロに付ける予定だった「六区あさくさ大通り」のショートバージョンは不要になり、村井しげるさんが熱唱する「六区あさくさ大通り」は幻と消えました。
しかし、我ながらなかなか良い動画だったと思うので、「六区あさくさ大通り」のショートバージョンをYoutubeへ公開することにしました。村井さんの見事な歌声とアコーディオン演奏を、是非ご覧になってみてください。