戦後のスクリーンを支えた日本の名作曲家たち
斎藤高順は、小津を最後に見舞ったとき次のように言われたそうです。
「斎藤君、ぼくの映画に作曲した楽譜は大事にとっておきなさいよ、きっとまた役に立つことがあるから。」
小津の言いつけ通り、楽譜は大切に保管され現在は私の手元にあります。
手書きの楽譜はフルスコアだけが残されており、パート譜は保管されていません。
「東京物語」「彼岸花」「秋刀魚の味」の3作品は、吹奏楽用にアレンジされ楽譜も出版されているので、これまでにも演奏された実績があります。
しかし、映画のために書かれたオーケストラによる演奏は、残念ながら一度も行われていないのです。
それが、2015年秋にオーケストラによって演奏されることになりました。
2014年末、松竹音楽出版からご連絡をいただき、手書きのフルスコアを貸し出しました。
オーケストラ用に「東京物語」の楽譜を作成することになったのです。
日本センチュリー交響楽団の四季コンサート2015秋(2015.10.3土)で、「東京物語」の演奏が決定しました。
「東京物語」の公開から60年以上を経て、初めて聴衆の前で演奏されることになったのです。
小津が斎藤に遺した言葉が、遂に現実のものとなる日が訪れたのです。
コンサートのタイトルは「戦後のスクリーンを支えた日本の名作曲家たち」に決まりました。
斎藤の他、芥川也寸志と池辺晋一郎、それに黒澤映画でお馴染みの早坂文雄、ゴジラの伊福部昭らの代表作が選曲されました。
是非、たくさんの人に聴いていただきたいコンサートです。
日本センチュリー交響楽団 四季コンサート2015秋
会場:いずみホール
日時:2015年10月3日(土)
15:00開演(14:00開場)「戦後のスクリーンを支えた日本の名作曲家たち」
斎藤高順 「東京物語」より
芥川也寸志 「八甲田山」より
早坂文雄(松木敏晃編曲) 交響組曲「七人の侍」
池辺晋一郎 「春を背負って」より
伊福部昭 交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」