小津安二郎サウンドトラックコレクション

小津安二郎の映画音楽は、斎藤高順が起用される以前には伊藤宜二と斎藤一郎の二人が担当していました。
『父ありき』の音楽は彩木暁(彩木暁一と記載されている場合もある)と記録されていますが、後に彩木暁は斎藤一郎のペンネームであったことが判明しました。
また、斎藤高順が起用されて以降、『お早よう』と『小早川家の秋』の2作品は黛敏郎が音楽を担当しました。
伊藤宜二と斎藤一郎は、小津の要求通り“登場人物の感情や役者の表現を助ける音楽を希望しない”という姿勢を忠実に汲み取ったと理解できます。
数多くの日本映画や外国映画に関する文筆活動を行う小林淳氏は、『松竹映画サウンドメモリアル 小津安二郎監督作品』の解説文で、伊藤宜二と斎藤一郎の音楽について次のように紹介しています。

斎藤一郎の場合上記3人(伊藤宜二、斎藤高順、黛敏郎)の作品に感じられる個性的な音楽構造はあまり表出せず、劇中のドラマ進行の妨げにならず鑑賞者の意識に入り込むことを拒絶するかのような響きを聴かせてくる。小津作品以外にも溝口健二、田坂具隆、成瀬巳喜男等といった巨匠たちと複数の名作を放ち、日本映画音楽史の重要な位置に置かれる作品を幾多も残しているが、いずれもその音楽のみが独り歩きして語られたことは殆ど無い。
『一人息子』を始め『麦秋』まで、6作品のメインタイトルが聴ける伊藤宜二は斎藤一郎との共通項も数多見出せるが、斎藤以上に自己の作風を訴えてこない作曲家である。小津作品の映画音楽は観る者のエモーションを必要以上刺激せずに、あくまでも映画演出の隠し味、といった毅然たる態度の下、叙情性に則った音楽構成によって小津映画を貫いた。黙々と、決して音楽が主張することのない仕事ぶりに徹した伊藤の頑なな作曲姿勢には職人的な奥ゆかしさ、潔さが存在する。

伊藤宜二と斎藤一郎の代表作を2曲ずつご紹介します。

一方、黛敏郎の音楽は、伊藤宜二、斎藤一郎、斎藤高順が築き上げた映画世界と渾然一体となった、決して主張しない作風とは明らかに異質と言えるのではないでしょうか。
黛は元より実験精神の旺盛な音楽家であり、小津作品の音楽に新風を吹き込んだとも言えますが、これまで歴史を作ってきた小津映画を、ドラマに密着し過ぎた音楽表現により破壊したと評する意見があったことも確かだったのです。

黛敏郎が担当した2作品『お早よう』と『小早川家の秋』のテーマ音楽をご紹介します。

sight-and-art.org

動画について

①ブルー・インパルス ②オーバー・ザ・ギャラクシー ③オンリー・ワン・アース ④輝く銀嶺 ⑤東京物語(吹奏楽アレンジ) ⑥彼岸花(吹奏楽アレンジ) ⑦秋刀魚の味(吹奏楽アレンジ)

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